学校内部からの声

   2016/08/25

宿題はいらない。

家庭の立場からの声だけではなく、学校現場からの意見も載せておきます。

 

学力低下招く教育界の迷信 (TOSS代表・向山洋一)

子供の学力を破壊する迷信が広くはびこっている。
宿題で学力がつくというのは迷信である。

宿題を出してくださいという保護者は多い。教師は、毎日のように漢字ドリルや計算ドリルを宿題にする。教師は毎朝、宿題ノートを点検して、印を押す。教師にとって実に楽な仕事で、保護者にも評判がいい。ところが、この方法では、漢字・計算の学力はつかない。

私たちの研究会では新年度のクラスで、漢字50問、計算20問を出して全国調査をしている。

計算ドリル、漢字ドリルを宿題にしていたクラスの学力は低い。毎日宿題を出して、厳しく点検していたクラスの漢字テストで、平均点は50点ぐらいだった。10点台の子が十数人いたクラスもある。

漢字・計算の学力は、授業でつけるのである。それは教師の仕事だ。

次に、授業中にプリントで学習する教師のクラスも学力は低い。

多くのプリントは粗悪品だ。ミスも多い。しかも、思いつき程度の内容がほとんどだ。

一番すぐれた教材は、教科書だ。法律で、教科書を使用することが義務づけられている。かつて、教科書を使わなかった教師たちが懲戒免職になった。最高裁の判例でも認められている。

子供の算数のノートを点検すると良い。教科書のすべての問題をノートに書いている教師なら安心だ。

ノートが、ゆったりとていねいなら文句なしにすばらしい教師だ。4年生は7月で算数ノートは3冊目ぐらいになっているはずである。

自分の子供の学力が心配なら、算数ノートをていねいに点検するのがよい。もし、教科書の問題が抜けていたら、担任の先生に、やるようにお願いすることだ。拒絶されたら校長先生にお願いするのだ。
算数のノートのチェックは、通信教育や塾ぐらいの効果がある。
教科書が最もすぐれた教材だが、それに続くのが、教育用の専門出版社が、学校用に開発した教材だ。

ほとんどの教科書会社は、教科書とは別のスキルや資料集などを発行している。

静岡県の一部では、退職校長が先生方に教材を押しつけているが、それ以外の所は、自由競争であり、何種類もの中から、教師が相談して選んでいる。すぐれた効果をあげている教材も多い。

子供を伸ばすには「教えて」「ほめる」ことが大切だ。ところが、「教えない」教師は多い。「注意する」「叱る」ことを「教える」ことだと勘違いをしているのだ。

ある学校の4年生は、学級崩壊をしていて、教室は騒乱状態だった。

先生の声が通らない。授業中立ち歩く。机に乗っかる。そうじは全くしないで遊びまわっている。先生の注意は聞かない。その学級に新しい先生が着任した。一日様子を見て次の日、先生はほうき、ちりとりを持って体育館に全員を連れていった。

ほうきでごみを集め「そうじは、このようにするのよ」と教え、次々とやってみせた。次の日から、子供たちは、全員熱心にそうじにとりかかった。子供たちは、それまで一度も、教えられなかったのである。

そうじしている子供を先生は、一人一人ほめ、3日で学級崩壊を立て直したのである。

(2011年8月13日 産経ニュース)

 

さらに、

 

算数の教材に「計算ドリル」がある。「漢字ドリル」もある。

細長い練習帳で、1ページに20問位が出題されている。

「漢字10回」といえば、ノートに、同じ漢字を10回ずつ書くことになる。毎日のように宿題にされる。

子供は、最初「へん」だけを書き、あとから「つくり」だけを書くようになる。

ドリルは、40年位前から急速に広がった。「何回も練習させる」が広がった理由だが、実は害の方が大きい。

京都大学で開かれた「日本教育技術学会」で発達障害を専門とする医師は、次のように発言した。

「計算ドリルは、同じ問題を何度もやらせるが、意味がない。できた問題を何度もやらせると、算数嫌いな子も出てくる。できなかった問題を教師が教えていない」

私も全く同じ考えだ。

「できた問題を何度もやらせる」のは害の方が大きい。

「できない問題を教える」ことをしないのでは意味がない。

「計算ドリル」「漢字ドリル」は害の方が大きいのに、なぜ使われるのか。

それは「授業中やらせておく」と教師の手があくからである。

「宿題としてやらせる」と親のうけがいいからである。

「教師が指導する」ことをしない手抜き教材なのである。

(2014年4月12日 産経ニュース)

 

プロフィル】向山洋一 むこうやま・よういち

30年以上の教員経験。代表を務める「TOSS」(教育技術法則化運動)は全国の教員約1万人が参加。

 

こういう意見が多くの家庭に届いて欲しいと思います。

 


 

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